Sunday, July 16, 2006

Inside Outside

 
老舗雑誌Backjumpsが昨年開いた大規模なエキシビションの模様を中心においたストリート・アート・ドキュメンタリ。
 ヒョウ柄のストッキングを頭から被り、ライティングや夜間蛍光塗料など一風変わった素材を用いるパリのZEVS。街中に大量のドリップを垂らし続けるニューヨークのKR。ビルのトップにタグを残し続ける行為を、都市のロッククライミングと言い切るサンパウロのPIGMEUS…
 対して、出てくる社会派はヴァンダル・スクワッドだけではない。「グラフィティよりはマシさ」と言いながらiPodの広告をひたすら貼り続けるパートの中年。カメラマンとZEVSは深夜に残したタグの現場へ行き、その除去作業を行う男にインタヴューまで決行。
 社会的問題点などはこの際おいておいて、彼らの行動を律している信念やエネルギー、思索の発露に限って言えば、それはまさしくアートだと思う。企業広告の人物写真の眉間部に赤いドリップを残すZEVSにしてみれば、例えばこうだ。「人々は誇大広告のもたらす潜在的な影響力に気づいていない。俺は赤い点を打ってモデル達を<殺す>ことで、そこからその力を剥奪する」。彼はそうやって、パリ中の何百という看板広告に<ヴィジュアル・アタック>を行っているという。またニューヨークのSWOONは、危険を侵しながらもストリートで活動することについてこう語る、「セキュリティを与えてくれるあらゆる物は、ある観点からすると結果的にはこっちを管理していることになる」
 きれいな映像と編集、旅好きならではのユニークな視点で映像を切り取っていくのは、デンマークのフリー作家Andreas Johnsen。出演者によるグラフィティに対することばも、現代ならではのアップデートされた切り口。アドヴァタイズとアート、ジレンマなどをひたすら並列することで、なにかを表現していく欲求と彼らのヒューマニティが立ち表れてくる素晴らしい作品。

http://rosforth.com/